ここは
ダメ人間「織戸真」が
ヘタな絵を晒し
ヘタな絵を上達させようという
ダメサイトです。
日記とか買ったマンガのメモとかも兼ねてるみたいですよ。
<< AzPainter2を少し使ったよ | main | マンガ1冊、ラノベ7冊 >>
20090517 /第15回電撃小説大賞感想/
およそ3ヶ月前に買っておきながらもなんとなく読む気にならず積んだままだった電撃の新人賞。まとめて感想書くならまとめて読んだ方が良いよな、と考えてしまったのが腰を重くした原因か。
というわけでやっと読んでの感想集です。

第15回電撃小説大賞大賞受賞作。久々の大型新人といった風格。内容も完全に新人離れしてたなあ。これぞ電撃文庫のライトノベルだっっ!!と言わんばかり。
いじめられっこのデブオタを主人公に据えながらも、奇を衒わずの真っ向勝負で学園異能を仕掛けてくるとは恐れ入った。近未来を舞台にSF的要素を盛り込みつつ、それでもハートが原動力っていうのは、熱いね。思わずやってみたくなるようなゲームの設定も面白い。でも現実であと40年経っても技術はここまで進歩してないのだろうなあ……なんて少し淋しくも思いつつ。っていうか俺そんときにゃ70歳近いじゃねえか。
ともあれ、これからの活躍が大いに期待できる新人が登場したな。





パララバ―Parallel lovers (電撃文庫)

パララバ―Parallel lovers (電撃文庫)

アスキーメディアワークス

第15回電撃小説大賞金賞受賞作。安心の電撃金賞クオリティ。良質なSFジュブナイルです。
高畑京一郎のタイムリープを範としているようで、まぁあんな感じ。なんで異世界と電話が繋がったのかという理由が全く解明されない所も似てる。パラレルワールドを利用したミステリ仕立てのラブストーリー……というほどラブでもないような。表紙から漂う爽やか感に囚われていると面食らう生々しさがある。
大量の伏線が散りばめられているにもかかわらず、その一つ一つに気付いて内容を理解していけるのは丁寧すぎるくらいの心情描写ゆえか。ワトソン二人で相談しながら事件の謎に迫っていく形式をとっているので、そのときの会話で現状把握できるのもわかりやすい。でもラメルさんはもっと活躍しても良い……。
惜しむらくはイラストが残念。絵柄コピー的な意味で。よくここまで模倣したなあと感心してしまうくらい放電映像の劣化コピーなので、それに気付いてしまった人にはそのせいで小説の出来と関係なくマイナス補正がかかってしまうかも。俺はどうしても初見の印象が拭えなくて困った。
ファンタジーや冒険ものが主戦場らしいのでそちらも是非読んでみたい。





ロウきゅーぶ! (電撃文庫)

ロウきゅーぶ! (電撃文庫)

アスキーメディアワークス

第15回電撃小説大賞銀賞受賞作。少女はスポコン!コーチはロリコン!?このキャッチコピーを考えた編集は天才。
でも主人公と少女達は高校一年生と小学校六年生で4つしか年齢離れてないんだよな。とか言いつつ大学一年と中学校三年生は確実にアウトだと思ってしまう不思議。ロリコン道は奥が深い……。
などというロリコントークはこの作品においては比重が軽く、どちらかといえばスポコンの方が重視されております。作者がバスケ経験者ということで試合内容や、戦術も臨場感を持っているような気がする。しかしテンポを良くする為なのか、主人公が女子バスケ部のコーチになろうとする経緯がやや性急で、主人公の行動も共感しにくい。スポーツ推薦で高校に入学→入学早々一年間バスケ部休部→憧れの部長も退学→もうバスケ辞めようのコンボは理解に困る。もう少し説得力のある動機が欲しかったなあ。
「あざとい」と感じる「如何にも」な場面が多かったのだが、それは単に俺がひねくれ者だからなのかもしれない。




第15回電撃小説大賞銀賞受賞作。他に3つの新人賞でマルチ受賞しております。ラノベ的といえるギミックはかなり少なく、萌えも皆無。筆もかなり速く、作風は成田良悟っぽいかも。
日本ホラー大賞などの一般文芸分野で大賞など受賞しているので文章力は高い。ジャンルの受け皿が広い電撃文庫じゃないとカテゴリエラーを起こしそう。090金融、振り込み詐欺、性のボーダー、ドラッグなどアングラな話題をそのままに扱っているのも珍しい。
筆力もあり、構成もうまいのにオチが弱いせいでお世辞にも完成度が高いとはいえない。月に一本新人賞に応募するということをやっていたためなのか練り込みが甘く、万城小夜の正体がぶん投げ気味になっているせいで、それまでのエピソードを束ね切れていない。夜を創る会はもっとどうにかできなかったのだろうか。
作風と受賞歴から鑑みるに、これからもコンスタントに電撃文庫で書いていくのか疑問が残るところもあるが、生まれながらの「越境者」から目を離しがたいのは間違いないことだろう。




第15回電撃小説大賞奨励賞受賞作。個人的にはかなり気に入りました。へっぽこ様は小さいままでお願いします。
主人公、作者、俺の年齢が近いせいか、視線が同レベルにあるような感覚があって自然と入り込めた。主人公の性格もひょうきんで軽薄で程々に大人なのも○。まぁ24歳だしな。小町さんの悪女っぷりには◎。それに翻弄される主人公は非常に楽しい場面だ。
ただへっぽこ様の正体が口絵開いた瞬間に推測できちゃう程度なのは如何なものか。主人公がへっぽこ様に懐かれているのも神が現界した理由も不明だし、日本だけで起きた現象なのだろうかその範囲もいまいち判然としない。キャラクターは魅力的なんだけど、舞台装置が張りぼてで欠陥ありそうに見えてしまうのが残念。ある時突然神様が現れたっていうよりも、もっとナチュラルに神々がいるような世界観にしておいた方が良かったんじゃないだろうか。人間と神様の距離感、というのがこの小説の肝になっているのでなかなか難しいところだと思うのだが。
それにしてもタイトルの後に思わず「おっぱいもみもみ」と言いたくなるのは何故だ。



というわけで総評。
応募総数3541という他レーベルを圧倒する桁違いの数(富士見F659、MF957、SD811、スニーカー612、GA611、ガガガ606)。玉石混淆の新人達といえども、母数が大きければ玉も多いはず。その中でも特に大きく輝いた玉が揃ったと思います。大賞の賞金が100万円(富士見F次回から300万、ガガガ200万、他軒並み100万)でも、受賞後の未来を考えればみんな電撃からデビューしたいのだろうというのがよくわかる。奥付裏の募集要項をチラっと見て「賞金はあくまでも副賞なんだものなあ……」なんて感慨にふけった俺なのであった。
しかしSDが応募811点というのは謎。マゾか?
| comments (0) |

Comments

Comment Form