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20071003 /鉄球姫エミリー/
なんか集英社からよくアクセスしてくるので書くよ。

第6回SD文庫新人賞大賞受賞作。2chのSDスレで「ひどい話」「鬱グロ」などの評価を目にして対衝撃体勢を取っていたからなのか、あまり嫌な思いはしないで済んだように思う。表紙絵とタイトル、口絵、あらすじを見て「エミリーが所狭しと大暴れ、どうだこのやろー!って話なのかな」と思って読むと、惨いことになるのは確実。敵も味方もいっぱい死にます。

戦う前から負けている、チェックメイトの状態で話が始まっているので結末が悲劇的なものになるのは必定。エミリーが自身の居城を「欠陥建築」と評したのと同じ意味で、欠陥のある物語である。
この状況をなんとか打破して全員生き残りGOODENDに持って行くご都合主義が従来のライトノベル的展開ではあるけど、それを敢えて選択しなかったのは非常にSD的で、作者の筆力の高さを大きく感じさせるものである。
敵役のマイルズ側が完全に悪ではなく、寧ろエミリーと似たような境遇を負い、何かを守る為に苦悩している。いわばエミリーの鏡像で、"失った人間"と"これから失う人間"が生み出すドラマというものに深みと悲愴感を与えている。
エミリーのキャラクター形成も良かった。傲岸不遜でありながらも信頼と愛情を感じさせる立ち回り。下品なのは作者の性質によるものだとしても、気高さと苛烈さは特に損なわれることが無かったように思う。多分。
結局「鉄球姫エミリー」のテーマは何だったのか、ということをここ数日考えてたんだけど、キングフィッシャーさん(from ARMORED CORE FORT TOWER SONG)が言ってた「生きている者が死者に報いることができるとしたら、それはただ生きることだけだ」ってことなのかなぁ。あとは守りたいものを守る方法か。
最初から最後まで高い水準を保って話が進むんだけど、難点は空気を読まない下ネタが一部見受けられたとこ。エミリー自重しろ。

さすが大賞、佳作二本とは格が違う(というか佳作がダメ過ぎる気も……)。最後に取っておいて良かったぜ。"大甲冑"の設定はかなり前からあるものらしいので、そのうち同じ世界を舞台にした話を読むこともありそうかな?とりあえずそのときはまた是非瀬之本さん挿絵で。というかこれからもこのコンビでお願いしたい感じ。


で、アサウラの新作マダー?
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